皆さんこんにちは!丹生 裕之(@fab_dokuiro)です。
日本選手権2023優勝、コーリング:東京Top8などの戦績を持ち、普段はフレッシュ&ブラッドに競技的に取り組んでいるプレイヤーです。
今回は11月29日(金)に発売するアーモリーデッキオリジン「ヤール・ヴェトレディ」について、概要、デッキリスト、プレイで意識すること、リストの改造案などの紹介をする記事になります。《ヤール・ヴェトレディ》が気になるけど「守護者」クラスや「氷」のカードについてよく知らない……という方にお勧めの記事です!
「守護者」クラスについて
まずは今回紹介するヒーローである《ヤール・ヴェトレディ》が属する「守護者」クラスについて説明します。フレッシュ&ブラッドのヒーローには必ずその得意分野を表すクラスがあり、「戦士」クラスは武器による攻撃を得意とする、「忍者」クラスは連続攻撃を得意とする…といったようにクラス毎に得意な戦略が定義されています。
「守護者」クラスはその名の通り、高い防御力を持ちます。そして、強大な一撃により相手を粉砕することを得意としています。
「守護者」クラスの装備品は全体的に防御値が高く、《鋼織りのバックラー》などの片手に装備できる盾は身を守ってくれます。そして攻撃アクションはコストと攻撃力が高く「一撃でデカい」ことが特徴です。《Pulverize》や《Spinal Crush》など、ヒットしたり、4点以上のダメージを与えた際に、相手の次のターンの行動を抑止するような効果を持っているアクションが多いのも特徴の一つでしょう。
では防御力が高く、カード1枚での攻撃力が高いクラスは、具体的にどのような戦法が得意なのでしょうか?それは、「防御を制限する能力と相性が良い」「長期戦に強い」というふたつの利点があります。
前者の「防御を制限する能力と相性が良い」についてはシンプルです。攻撃力が高く、「圧倒/Dominate」や「凌駕/Overpower」などの能力を持つ、攻撃力が高い攻撃を防ぎきるのは困難です。「圧倒」を持つ攻撃は手札からは1枚でしか防御できないため、格納庫に防御リアクションがある状況や装備品が十分にある状況以外では防ぐことができません。「凌駕」を持つ攻撃も2枚以上によるアクションカードでは防御できないため、アクションカード主体のデッキでは防ぐのが困難です。「守護者」クラスは「圧倒」や「凌駕」を攻撃に付与する手段を豊富に持ちます。
《Spinal Crush》などの相手の行動を止める攻撃アクションに「圧倒」を付与すれば、「こちらの攻撃は通り、相手は反撃がしづらい」といった状況を作ることができます。こういったターンを複数回作って相手を封殺するのが攻めスタイルの「守護者」クラスの動きです。
後者「長期戦に強い」については、フレッシュ&ブラッドのゲームシステムと密接に関連します。フレッシュ&ブラッドのデッキ内のカードは、プレイするか、防御に使用するかで、役目を終えて墓地に置かれますが、ピッチに使用したカードはデッキの底へ行き、消耗しないというルールになっています。これにより、「コストが大きいカードはプレイしてもデッキのカードが減りづらい」という長所を持ちます。
手札3枚を使用して9点のダメージで攻撃するという点では、《Head Jab》を3枚プレイするのも、青いカードを2枚ピッチしながら《Disable》を1枚プレイするのも、ダメージの効率という点では同じです。が、《Head Jab》を3枚プレイする場合はデッキからカードが3枚なくなり、《Disable》の場合、ピッチに使用した青いカード2枚がデッキに戻り、また防御や攻撃やピッチに使用にすることができます。極端な話、(物の例えですが)デッキ40枚が《Head Jab》のデッキと、《Disable》10枚と青いカード30枚のデッキで対戦した場合、デッキに有効打が残ることから後者が勝利しやすい、ということですね。
また、直接的に相手のデッキがなくなることでの勝利を狙わなくても、耐え続けていると相手の手札がかみ合わず、攻撃が大人しくなるターンが発生するので、その際に温存していた強大な一撃で逆転する、といった戦法も得意としています。「守護者」はまさに、スタミナと体力に秀でており、どっしりと機を待つ前衛職という訳ですね。
では、「守護者」クラスについての確認を終えたところで、今回の主役《ヤール・ヴォトレディ》について見ていきましょう。
《ヤール・ヴェトレディ》について
《ヤール・ヴェトレディ》は11月29日(金)発売するアーモリーデッキオリジン「ヤール・ヴェトレディ」で初登場したヒーローです。
ヒーローの特性はエレメンタル・守護者・ヒーロー。エレメンタルのタレントを持つため、《埋雪》などのエレメンタルを持つカードをデッキに入れることができます。
さらに、ヒーローのテキストで「大地と氷の真髄」を持ちます。これにより《ヤール・ヴェトレディ》は「大地」、「氷」、「エレメンタル」、「守護者」のカードをデッキに入れることができ、非常に広いカードプールを持つヒーローです。
ヒーロー能力は「あなたが氷カードをプレイする度に、相手の露出している頭か胴か腕か足のゾーン1つに《凍傷》トークンを1つ作成する。(何も存在せず、何も装備されていないゾーンは露出している)」というテキストです。
まずは《凍傷》トークンについて説明しましょう。
《凍傷》トークンは相手の場に出されて、相手のカードプレイや能力の起動に追加の1リソースを要求するトークンし、その後破壊されるトークンです。まさに相手の動きを抑制する氷といったイメージですね。例えば、相手の場に《凍傷》トークンが1つある状態で相手のターンが開始した場合、相手が最初に使用する《Head Jab》は本来0コストで使用できますが、追加で1リソースを払う必要があり、そのコストを払った後《凍傷》トークンが破壊されます。もし《凍傷》トークンが3つあった場合、追加で3リソース払う必要があります。
次に、「露出している」というテキストについて解説します。フレッシュ&ブラッドは基本的に全部位に装備品を装備して開始するゲームで、ほとんどの装備品は、防御に使用するか、能力を起動することで破壊され墓地に送られます。
そうやって破壊され、空いた装備ゾーンが「露出している装備品ゾーン」となり、ヤールの効果の対象となります。
つまり、ヤールのヒーロー能力は「相手の装備品が壊れてから、氷カードをプレイする度に《凍傷》トークンを出す」というボーナスがあるヒーロー能力というわけです。
露出しているゾーン1つにつき、出せる《凍傷》トークンは1つなので、相手の露出しているゾーンが1カ所なら自ターンに2回「氷」カードをプレイしても出せる《凍傷》は1つですし、逆に相手の露出しているゾーンが2カ所あっても、「氷」カードをプレイしたのが1回なら出る《凍傷》は1つである点には気を付けましょう。
主役となるヒーローについて確認できたので、次はアーモリーデッキオリジン「ヤール・ヴェトレディ」のデッキリストを見ていきましょう。
まずはヤールの戦略の中核を成す攻撃アクション《破砕撃》について説明します。
ヤールのヒーロー能力は相手の装備品が壊れていないと有効化しません。対戦相手はヤールの能力を無力化するために、装備品を温存するプレイをすることが多いでしょう。そんな時、無理やり相手の装備品を壊してくれる攻撃アクションが《破砕撃》です。更に、アーモリーデッキオリジン「ヤール・ヴェトレディ」には《破砕撃》をサポート・強化するカードが豊富に収録されています。
《永久に消えゆく》はプレイすれば装備品1つに-1カウンターを配置し、更に次のターン開始時、自分ターンの最初の攻撃に「圧倒」を与えてくれます。《破砕撃》の能力で相手の装備品を破壊するには「相手の装備品に-1カウンターが配置されている《破砕撃》で4点以上のダメージを与える」という2つの条件が必要ですが、その2種の条件を綺麗にサポートしてくれます。オマケに《永久に消えゆく》は「氷」「大地」2種のタレントを持つため、タレントを参照する各種カードとシナジーします。
《追憶されし冷厳》はブロックに使用時、条件を満たしていれば《破砕撃》をサーチして追放し、次のターン使用可能にしてくれます。上手く使えれば手札消費なしで4点防御ができつつ、返しの攻撃手段を確保してくれます。
腕装備である《北方領域の篭手》は能力を起動することで、《破砕撃》を強化する能力を持ちます。ピッチしたカードが「大地」なら+2点、「氷」なら「圧倒」を与えてくれます。どちらにせよ《破砕撃》の効果が狙いやすくなりますし、青いカード2枚の手札+《破砕撃》という手札から規定に《北方領域の篭手》起動に2リソース使用→4コストの《破砕撃》のプレイに綺麗に繋がります。《永久に消えゆく》のような氷・大地両方のタレントを持つカードをピッチして《北方領域の篭手》の能力を起動すれば、両方の効果が適応されるため非常に強力です。
上記の《破砕撃》関連のカードの他にも、《瓦解の強打》や《凍死》、《大自然の野晒し》といったカードでも装備品に-1カウンターを置くことが可能です。-1カウンターを置くことで《破砕撃》による装備品の破壊が狙える他、《追憶されし冷厳》の条件達成ができます。
これらのカードにより対戦相手の装備品を破壊し、ヤールの能力が有効になった後は《冬の凍牙》や《アイゼン山の導き》といった「氷」カードが相手を妨害してくれるカードになってくれます。
例えば、《冬の凍牙》をプレイすれば、相手に手札を1枚ピッチにするか捨てるかの要求ができます。更に露出しているゾーンがあれば、ヤールの能力で《凍傷》トークンが作成できます。カード1枚で相手の手札1枚を要求した上に《凍傷》トークンにより1リソース追加で要求でき、相手は非常に行動しづらくなります。
このように、《破砕撃》をサポートするカードを含め、ヤールの能力の達成と、その後の妨害カードも含めたコンセプトが伝わってくる構築済みデッキです。
ですが、デッキをより強化することもまだ可能ですので、相性の良いカードを何個か紹介させて頂きます。
デッキを強化するカード
《Stalagmite, Bastion of Isenloft》は防御時に《凍傷》トークンを相手に作成する上に防御値が2の「焼き戻し」なので、非常に優秀な盾です。相手の攻撃の途中で《凍傷》を作成することで、相手の攻撃の計画を狂わして、手札を上手く使いきれなくしたり、武器による攻撃を防ぐことができるため、上手く使うことができれば6点や8点ものライフを守ってくれる盾です。
《Oaken Old》も是非デッキに入れたい強力な攻撃アクションです。プレイ時に「氷」と「大地」のカードを公開すれば、3コスト9点+圧倒で「ヒット時、相手の手札を2枚ランダムでデッキの一番下に置く」という強力な手札破壊効果を持ちます。
「圧倒」付きの強力なヒット時効果ということで、普通は装備品を防御に使用してなんとかヒットしないようにしたいところですが、その場合、防御に使用した装備品が壊れてしまいヤールの能力が有効になる可能性が高いため、どちらにせよ有利な状況になりやすいですね。《Oaken Old》には「氷」「大地」を各1枚ずつ公開する必要があるため、万全な状態でプレイするハードルがあるのですが、《永久に消えゆく》なら1枚公開するだけで済むので、こちらも相性が良いですね。
《Channel Lake Frigid》は「氷」を使う理由にまでなる強力な「氷」カードです。これをプレイされた相手はカードの起動・プレイ全てに追加1コストが要求されるようになるので、《Channel Lake Frigid》をプレイされている状況でカードを複数枚プレイするのは非常に困難になります。現環境で活躍している《アウローラ》《ダッシュ I/O》《ヴィセライ》《ゼン》など、1ターンに複数枚カードを使う構築のアグロヒーローに特に有効です。
《Pulse of Isenloft》は2コストの防御リアクションで防御値6と標準的な性能の防御リアクションですが、真価は「氷」と「大地」両方のタレントを持つ点にあります。上述した《北方領域の篭手》や《Oaken Old》と非常に相性が良いためオススメです。オマケとして、防御リアクションとしてプレイすると「氷」「大地」「エレメンタル」のアクションカードの防御値を1点上昇してくれます。
他にも、「大地」クラスに寄せた構築をする場合、《王位の切り倒し》や《すき込み》といったカードがオススメになります。守護者クラスのカードを増量する場合は《Spinal Crush》や《殴打》がオススメです。
ヤールは構築に使えるカードプールが非常に広いため、様々な構築パターンがある研究し甲斐のあるヒーローです。守護者の強力な一撃や、氷による相手の妨害、大地による防御力を持つ《ヤール・ヴェトレディ》を楽しみましょう!