丹生裕之選手は2023年の日本王者であり、昨年の世界選手権:バルセロナに参加するなど、各地で行われるフレッシュ&ブラッドの大イベントに参加経験のある、まさに”Play the game, See the world”を体現するプレイヤーです。2023年の世界選手権への参加経験から、丹生選手が本イベントの注目ポイントについて語ってくれました。

参加経験者から見た世界選手権の魅力
2023年1月に、友人から誘われてフレッシュ&ブラッドを始めた私は、同年9月の日本選手権で優勝し、世界選手権への参加権利を獲得。そして2023年11月、20時間のフライトを経て、世界選手権:バルセロナに参加しました。フレッシュ&ブラッドの世界選手権は、私が参加してきた数々のイベントで最も印象深い、最高の大会でした。
世界選手権は全4日の日程で開催されます。初日のレセプションイベントはセレモニー的なイベントです。私は日本代表選手として日本国旗を振り、新カードの公開を見て盛り上がりました。

2日目と3日目は本戦に参加して、緊迫した対戦に没頭しました。勝利を重ねる度に、興奮が沸きあがり、敗北した時には、普段の数倍の反省が押し寄せてくる。勝っても負けても感情が大きく揺れ動き、これは通常の大会や、日常生活では決して味わえない、フレッシュ&ブラッドを始めていなければ経験できない興奮でした。4日目、最終日はサイドイベントでクラシックやシールドの対戦を満喫しました。サイドイベントで対戦する人達は皆フレンドリーで、日本のフレッシュ&ブラッドシーンについて、雑談を交えながら対戦しました。対戦後、イベントで手に入るチケットを交換して手に入れたプライズは今でも自慢のコレクションになっています。
対戦だけではなく、広い会場、豊富な物販やブースも素晴らしかったです。アーティストブースではプレイマットやカードに、そのアートを描いたアーティストのサインを依頼することができます。手ぶらで来ていても、プレイマットやカードを会場で購入して依頼することもできます。コスプレイベントに参加する人々はカードやヒーローを非常に凝った衣装で再現しており、一目見るだけでも楽しい気分になります。「お祭りと競技が理想的に調和しており、どちらも楽しめる場所」それがフレッシュ&ブラッドの世界選手権です。
「招待制の世界選手権」と聞くと、招待を受けていないプレイヤーには縁がない、ごく一部の競技的なプレイヤーにのみ関係があるイベントのように思えますが、フレッシュ&ブラッドの世界選手権は、招待選手以外も全力で楽しめるイベントです。エントリーすれば参加できるコーリングやバトルハーデンといった大型大会では競技的な対戦ができて、勝てば名誉と数々の報酬が手に入ります。カジュアルに遊ぶ場合は、サイドイベントに参加して、プライズを豪華な景品と交換するだけでも楽しめます。サイドイベントはクラシック、ブリッツといった主要な構築フォーマットや、デッキ構築のハードルが低いコモナーフォーマット、手ぶらで参加できるリミテッドシールドのイベントが開催され、非常に間口が広いものになっています。
世界選手権の開催地は毎年変わります。次、日本で開催されるのがいつになるのかは分かりませんが、これはスペシャルなことです。会場に足を運べそうな方は、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。

世界選手権:大阪における注目ポイント
去年の世界選手権についての振り返りを終えたので、今年の話をします。10月31日から11月3日まで開催予定の世界選手権:大阪の大会本戦について話しましょう。
まずは、9月20日発売の『ロゼッタ(Rosetta)』が出てからのクラシック環境に注目です。この記事を執筆している9月末の環境では、「霧隠れの秘境」の2ヒーロー、《エニグマ》と《ヌゥ》が非常に強力なヒーローです。その2ヒーローに続く形で、古参のヒーロー達である《アザレア》、《ケイノ》、《ダッシュ》、《ケイヨ》、《ヴィクター》といった面々も常にTop8を狙えるポジションに居ます。対策を怠ることはできません。
そして、新セット『ロゼッタ(Rosetta)』の発売から約1か月の環境なので、今まで大会で活躍していないカードや、ヒーローが活躍する可能性はいくらでも秘められています。個人的には、『ロゼッタ(Rosetta)』の新ヒーローでは《アウローラ》と《フローリアン》はどちらも《ヌゥ》、《エニグマ》に対抗できるパワーを感じており、活躍する展開は十分予想できると考えています。発売から一か月の期間でどれほどデッキリストが洗練されるのか、要注目です。『ロゼッタ(Rosetta)』で強化されたルーン剣士の一人、《ヴィンセット》も活躍するポテンシャルを秘めています。また、10月18日発売のアーモリーデッキ:「ダッシュ」で大幅に強化され、爆発力を得るであろう《ダッシュI/O》も競技シーンで活躍しそうです。
多くのヒーローにチャンスがある環境なので、全てのヒーローを対策するのは難しく、完璧なリストの構築は非常に困難でしょう。メタゲームを読む洞察力と研究、そして構築のバランス感覚が求められるであろう環境で、世界トップレベルの選手たちがどんなデッキを持ち込んでくるのか、今から楽しみです。

本戦のドラフトラウンドでは、『ロゼッタ(Rosetta)』によるドラフトが行われます。『ロゼッタ(Rosetta)』リミテッドで使用できる4種のヒーローについて解説します。《フローリアン》は大地とルーン剣士のカードの多くが安定して強いという強みと、武器《朽ちた森の命刈り》の性能の高さから長期戦に強く、中速より遅い戦いを非常に得意としています。プレイアブルなカードの多さから、恐らく《フローリアン》が最も使用されるヒーローになると予想しています。では、《フローリアン》が最強のドラフト環境なのか、というとそうとは限りません。《フローリアン》にもちゃんと弱点が設計されており、魔術師クラスの《オシリオ》なら秘術ダメージを中心に戦うことで防御が困難な方法でライフを削ることができ、優位に立つことができます。そして、その《オシリオ》に対して稲妻カードによる連続攻撃で効率よく、早期にライフを削りきることができる《アウローラ》が有利です。《ヴァーダンス》は秘術ダメージのカードを中心に組めば《フローリアン》に有利になり、大地クラスの攻撃アクションを中心にデッキを組めば《オシリオ》や《アウローラ》に有利になり、戦略が変わります。総合して、大地タレントを持つヒーロー達が勝ちやすいでしょうが、稲妻タレントのヒーロー達も、少数精鋭のピックを成功させることができれば下剋上を成功させるポテンシャルを持っています。ドラフトテーブルを囲む8人の内、大地を選択するのが何人になるのか、稲妻を選択するのが何人になるのかが注目ポイントです。

会場に足を運ぶプレイヤーへのアドバイス
注意点として、今回の世界選手権の会場であるインテックス大阪は都心部から少し離れたところにあります。周辺に宿や飲食店は少ないため、コンビニで十分な軽食を買ってから向かうのをオススメします。日本のコンビニでは軽食に適したおにぎりやパン、サンドイッチ、飲み物が常に販売されています。
競技的なイベントや、リミテッドイベントに出る場合は十分な枚数のスリーブのスペアを持って行くようにしましょう。忘れてしまった場合でも、会場でスリーブを購入することはできるとは思います。が、競技的なイベントでスリーブを交換する必要が発生した場合に備えて、使用しているスリーブの未使用のスペアを持っておくと安心です。先手後手を決める際やリソースの明示に使用するダイスもあれば良いですね!
また、バトルハーデンや、コーリングといった競技的な大会に参加する場合は、デッキリストを印刷した用紙と、ライフを記録するメモとペンを持って行くように気を付けましょう。
以上となります!お読みいただきありがとうございます。

