クラシック
- 変更はありません。
クラシックは現在最もバランスが取れた状態にあると言えます。そして最近ヴィセライがリビングレジェンドに昇格したことで、プレイヤーには解くべき新たなパズルが提示されたことになります。今年中にはあと何人かのヒーローがヴィセライと並んで引退することになるでしょう。プロクエスト:シンガポールの今後数ヶ月のシーズンを通し、リビングレジェンドのシステムがこのフォーマットを象っていく主な手段となるのを見守っていきたいと思います。
ブリッツ
ブリッツに関する以下の変更は、2025年3月4日 (火) から適用されます。
- 《宇宙の横断/Traverse the Universe》は禁止されます。
- 《軽風の針/Zephyr Needle》は禁止されます。
- 《種子の王冠/Crown of Seeds》は禁止解除されます。
《微風の針》と再得メカニズムの相互作用については、クラシック構築での禁止の際に長々と語ってきました (https://fabtcg.com/en/articles/banned-and-restricted-announcement-24-01-25) 。LL入りとなったアイラが針に対して行ってきた強化を抜きにしても、このカードが墓地から戻ってくることに対するデッキ構築や実際のコストのたやすさはいくつもの問題をもたらし続けています。1リソースで2パワーの続行付き武器は、その潜在的な欠点が実質的に軽減されるのであれば単純に強すぎます。そして再得は《微風の針》の弱点を軽減してしまいます。以上。カードは禁止になります。
レジェンダリのレアリティのカードを禁止する決定は、通常の禁止よりも重い説明責任があります。我々に求められるのは、このカードの出力がフォーマットの楽しさや健全性に対して掛け値無しにマイナスであると言うことの絶対的な確かさです。また、プレイヤーに対してもデッキ構築やメタゲームの進化を通じてそこに対する答えを見いだすための十分な機会が与えられるべきです。《宇宙の横断》の件に関して言うなら、圧縮された20ライフベースのフレッシュ&ブラッドにおいては、このカードの効率に対する回答は現在のところ存在しません。また、ブリッツは40枚というデッキ枚数により超越カードの濃度がより高くなり、ゼンにとって《宇宙の横断》はいつでも強く使えるカードになっています。この事実により、《宇宙の横断》は間近な未来において棚にしまっておこうという結論に達しました。
ですが物事は常に変わり続けます。《種子の王冠》の解除はその間違いない証拠でしょう。このカードを禁止したのは約1年前で、正直この別れは永遠だと思っていました。《種子の王冠》が制圧していた時期、このカードはゲームを簡単に硬直させ、多くのデッキがその純粋な防御効率に対するまともな回答を持っていませんでした。
しかし、現在は状況が変わったようです。フレッシュ&ブラッドのカードはローテーションしないため、デッキは時間経過と共に必然的に強力になっていきます。ここ1年の間、その強力化の割合の多くがゲームの攻撃面に割り当てられてきました。そのため、ライフが低いブリッツにおいて延長戦になることはどんどん珍しくなってきています。フレッシュ&ブラッドのすべてのフォーマットにおいては多様なゲーム体験を提供することが健全さであり、攻撃側に傾いたブリッツのゲームのバランスを回復させるためには、遅めの大地デッキが健全な役割を担えると信じています。
正直な話をすると、ブリッツに《種子の王冠》を解き放つのは軽々に行われた判断ではなく、元に戻ってしまうリスクもそれなりにあります。今後のスカーミッシュのシーズンを通じて、このカードがブリッツに対してもたらす健全性と楽しさに関しては注意深く監視していきます。
リビングレジェンド
リビングレジェンドに関する以下の変更は、2025年3月4日 (火) から適用されます。
- 《電磁回転/Electromagnetic Somersault》は制限されます。
過去に触れてきたとおり、「スターボ」 (《ショーの花形、ブラーボ/Bravo, Star of the Show》) の巨大なカードプールと強力なヒーロー能力の管理は、リビングレジェンドにおいてはずっと続く作業です。ワールドツアー:シカゴの週末においては、このフォーマットはかなりの多様性を見せましたが、結局の所スターボの日でした。
制限の対象としては《電磁回転》が正しいところでしょう。稲妻のタイプに強力な防御効果がついてるのはスターボが本来手に入れづらいものであり、それに加えて《電磁回転》はスターボのカードプールに対してこれまで行われてきた制限を回避するための多くの役割を担っています。デッキ内の《堅牢な老兵》が1枚だけしかないとしても、9枚の《電磁回転》でそれを繰り返し繰り返し使えるとなれば意味の無いことでしょう。この制限が来たる先鋒戦シーズン11よりも前に発表になることは喜ばしいことで、さらなる介入が必要かどうかに関してはそこのイベントでのスターボの成績を監視し続けていく予定です。
コモナー
コモナーに関する以下の変更は、2025年3月4日 (火) から適用されます。
- 《ロゼッタの茨剣/Rosetta Thorn》は禁止されます。
- 《欠けゆく月/Waning Moon》は禁止されます。
- 《軽風の針/Zephyr Needle》は禁止されます。
- 《Ball Lightning》は禁止解除されます。
これまで《微風の針》に関して説明してきたことはコモナーのフォーマットにも当てはまりますが、今回の禁止は現在のコモナーのメタゲームにおけるもっと根の深い問題に対する指摘になります。フレッシュ&ブラッドにおける多くの強いデッキは、単純に相手よりも強い攻撃や防御の数値を出すことを強さの基盤としています。このルートから外れるデッキの多くは、独自効果を持つカードと噛み合ったり、闘技場に展開したり、ヒット時効果を活用したり、本来の基準数値を矮小化するようなコンボを形成したりするものです。ただこれらを達成するための道具はコモナーがのレアリティの外に存在するのが普通なので、コモナーではこれら4つは達成が難しくなっています。
このようなはっきりした数値の重視においては、最も強力で数値的な効率が高いSIPSIP (「Start In Play, Stay In Play」、最初からずっと場に残る) である武器を活用するデッキが常に上位に食い込んでくるのは理屈にかなっています。アイラやチェインやアイスランダーはコモナーのメタゲームに対して無視できない影を落としていますが、いざ禁止について検討すると、デッキに入る個別のカードの中にこの砦を切り崩すためのを見つけることは簡単ではありませんでした。今回SIPSIPの武器を対象としているのは、最強のデッキの鼻っ柱をへし折りつつ、この「三強」SIPSIP武器を持てないクラスに対等に戦える機会を提供して公平な立場で戦えるようにし、メタゲームを動かそうという意図があります。
《Ball Lightning》の禁止解除は純粋な強さ基準では衝撃的かもしれませんが、数値ぶち壊し系な前述の鋭利な刃物4要素と、メタゲームに成功を収めた稲妻タレントのヒーローがいないことを踏まえると、理にはかなっているでしょう。《Ball Lightning》はユニークな効果で、ヒット条件で、疑似コンボカードです ― これはどれもコモナーのメタにはない要素です。《Ball Lightning》による猛攻が効果的過ぎる可能性はあります。当然ですが、それが実際の結果として現れるようであれば、我々は今回の禁止解除を再検討することになります。ですが、現状はコモナーに大きな揺さぶりをかけるのにちょうどいい時期であると信じていますし、禁止解除は禁止と同じぐらいこの手順において不可欠なことでしょう。
次回の禁止制限告知の発表予定
次の禁止制限告知の発表は2025年5月27日 (火) (アメリカ時間) を予定しています。