ドラカイが皇帝殺しを追い詰めるために燃え盛るヴォルカーの平原を進んでいく一方で、ルールチームは皆さんがプラハでの『混転の餌食(The Hunted)』ワールドプレミアの週末やお近くでのプレリリースイベントでの混沌をくぐり抜けて勝利を勝ち取るお手伝いのために帰ってきました! このセットで導入されたルールを解説し、復讐の野心と共に戻ってきた古いメカニズムを再確認するため、Joshua ScottとNiccolo Paqueoが再びやって来ました。まずはきっちり標的を定めましょう。餌食となるのはあちらで、自分ではないはずです。

標的はどう機能しますか?
標的はヒーローの新たな状態で、基本的には
- ヒーローがなんらかの効果により標的にされた場合、そのヒーローは標的状態になります。
- ヒーローが他のヒーローになったり (アラクニやシヤナ等) 元に戻ったりした場合でも、標的になっていることは変わりません。
- ヒーローはヒットされるか標的が外れる効果があったとき、ただちに標的から外れ (標的状態でなくなり) ます。
- 標的状態は、ゲームの他の効果により参照される以外では効果を持ちません。
あなたが (コピー効果等で) 他のヒーローになった場合でも、標的状態は続きます。これは、あなたが標的状態になり、あなたが混沌の使者になったり帰巣で元に戻ったりした場合でも、引き続き標的状態のままです。ただし、あなたが変形したり、なんらかの理由で他のヒーローに置き換わった (《Levia, Redeemed》や《Teklovossen, the Mechropotent》) 場合、新たなヒーローは標的状態ではありません。
重要なこととして、あなたが標的状態のヒーローをヒットしたとき、そのヒーローが標的でなくなるための誘発が作成されることはありません ― そのヒーローは単にただちに標的が外れます。これは短剣を投げてヒット時誘発を発生させた場合に特に重要になります。
例1:タイラーは《シンドラ》を使用中です。タイラーは《復讐の布告》をプレイし、ニックを標的にしました。ニックはヒットされるまで標的状態です。タイラーはニックを攻撃し、ニックは防御してダメージを受けませんでした。その後ニックは自分のターンを行いました。タイラーの次のターン、ニックは引き続き標的状態です。タイラーはニックを攻撃し、ニックは防御しなかったため攻撃はヒットしました。これでニックは標的状態ではなくなり、タイラーは《忠義》トークンを作成します。
例2:タイラーは《シンドラ》を使用中で、ニックのヒーローは標的状態です。タイラーは《血脈の深化》でニックを攻撃し、これにより誘発が発生しタイラーがコントロールする2本の短剣がニックにヒットしました。《シンドラ》は1回しか誘発せず、《忠義》トークンは1つしか作成されません。これは、2本目の短剣がヒットするよりも前に、最初の短剣がニックにヒットしたことでただちにヒーローの標的が外れるためです。
最後に、標的状態のヒーローにヒットすることを条件とする誘発は、ヒットした後で標的になったヒーローを遡ってチェックすることはありません ― あくまでヒットが発生した時点で標的になっている必要があります。
混沌の使者はどう機能しますか?
《欺瞞の巣、アラクニ》(とその成人の姿である《傀儡・アラクニ》)は、ランダムな混沌の使者になることができる誘発能力を持ちます。「混沌の使者」とはそれぞれが様々な能力を持つ6枚一組の混沌・暗殺者・デミヒーローのカードで、そのすべてが基本のヒーロー (ゲーム開始時のあなたのヒーロー) に戻る能力を持っています。
アラクニが混沌の使者になったとき、アラクニのすべての特性がその混沌の使者の特性に置き換わります (あなたのライフは変わりません) 。あなたは混沌の使者として、新たなヒーローの能力を持ちます。その中には、ターン終了時にアラクニが帰巣する、すなわち元のヒーローに戻るものが含まれます。
混沌の使者の重要なルールは以下の通りです。
- 混沌の使者はトークンではない (トークンのタイプを持たない) ですが、トークンのレアリティで出現します。
- 混沌の使者はカードプールへの登録は必要ありません。
- ヒーローが混沌の使者になる可能性がある場合、混沌の使者のカードを6枚すべて持っている必要があります。これは自分のヒーローカードを持っているのと同じぐらい重要です。
タイラーは《欺瞞の巣、アラクニ》をプレイしていて、ニックのヒーローは標的状態です。タイラーの終了フェイズの開始時、《欺瞞の巣、アラクニ》が誘発し解決されます。タイラーはダイスをふってランダムな混沌の使者を決定し、1が出てヒーローは《黒麗蜘蛛のアラクニ》になりました。その後ニックが自分のターンをプレイしました。タイラーの次のターン、タイラーの終了フェイズの開始時、《黒麗蜘蛛のアラクニ》が誘発し解決されます。タイラーのヒーローは帰巣し、《欺瞞の巣、アラクニ》に戻ります。タイラーの次のターンの終了時、ニックが標的状態である場合、タイラーのヒーローは再びいずれかの混沌の使者になります。
《忠義》を使って「あなたがプレイできるのは竜系・カードのみである」の制限を回避できる?
はい。
《忠義》 (あるいは《Brand with Cinderclaw》等の同様のカード) の効果は、カードのプレイの宣言後、そのカードが適正にプレイできるかをチェックする前に適用されます。カードのプレイ順は以下のようになります。
- 宣言 ― 今回の効果は通常ここで適用されます
- コストの宣言
- モードと対象の宣言
- プレイが適性かチェック ― カードのタレントをチェックするのがここです
- アセットコストの計算
- アセットコストの支払い
- 効果コストの計算
- 効果コストの支払い
- プレイ
これにより、カードを竜系にして「プレイできるのは竜系・カードのみ」の効果を回避することができるのです。
タイラーは《忠義》トークンを11つコントロールしています。タイラーは《忠節の外套》を起動し解決し、その後《忠義》トークンを起動し解決し (インスタント能力) 、その後にニックを《目標捕捉》で攻撃しました。《目標捕捉》はプレイ時に《忠義》により竜系のタレントを得るため、《忠節の外套》の効果が発生中でも適正にプレイできます。
竜系の短剣を投げた場合、引き続き竜系のチェインリンクをコントロールしている状態ですか?
はい。
チェインリンクは攻撃の特性を引き継ぎます。攻撃が戦闘チェインから取り除かれた場合、チェインリンクはその特性を判断する際に引き続きその最後の情報を使用します。これはすなわち、竜系の短剣で攻撃し、その後投げてフル活用した場合でも、あなたがコントロールする竜系のチェインリンクの数にそれが含まれることを意味します。
タイラーは《シンドラ》でプレイしています。タイラーは《報復のクナイ》で攻撃し、さらに別な《報復のクナイ》で攻撃し、最後に《血脈の深化》で攻撃しました。タイラーの《報復のクナイ》はどちらも投げる効果により破壊されます。タイラーは現在竜系のチェインリンクを3つコントロールしています ― 短剣は破壊されてしまいましたが、チェインリンク1とチェインリンク2は引き続き竜系です。さらに言えば、タイラーは《シンドラ》のインスタント起動能力をプレイでき、今は竜系のチェインリンクを3つコントロールしているためリソースの支払いが不要となります。
《人狩りの標的》をヒーローに投げた場合、その相手は標的になりますか?
はい。
通常、ヒット時誘発の解決の前に、投げた効果で短剣はヒット後に破壊されています。《人狩りの標的》には「『これを破壊しそのヒーローを標的にする』を選んでもよい」と書かれていて、 (投げる効果により) 短剣がすでに破壊されていても、 (他の効果により) そのヒーローがすでに標的状態であっても、その短剣を破壊しそのヒーローを標的にすることを選べることが明記されています。
「選んでもよい」は、「~してもよい」とは以下の点で機能的に異なります。
これを破壊してもよい。そうした場合、そのヒーローを標的にする。
- これはその短剣が破壊できる場合にのみ実行できます。この場合、《人狩りの標的》を投げた後でヒーローを標的にすることはできません。
そのヒーローを標的にしてもよい。そうした場合、これを破壊する。
- これはそのヒーローが標的になっていない場合にのみ実行できます。この場合、すでにそのヒーローが標的になっている場合は (《グラフェンの鋏角》のためのスペースを空けたい等の理由で) 短剣を破壊することはできません。
「これを破壊しそのヒーローを標的にする」ことをしてもよい。
- これは短剣が破壊でき、かつヒーローが標的でない場合にのみ実行できます。これらを実行するためには、両方が実行可能である必要があります。
「これを破壊しそのヒーローを標的にする」を選んでもよい。
- これは、短剣が破壊できるかや、ヒーローがすでに標的状態かに関係なく実行できます。
タイラーは《欺瞞の巣、アラクニ》をプレイしています。タイラーはニックを《咬傷》で攻撃し、《人狩りの標的》をニックに投げました。ニックは1ダメージを受け、《人狩りの標的》がヒットにより誘発しその後破壊されます。誘発が解決され、タイラーは《人狩りの標的》を破壊しニックを標的にすることを選びました。《人狩りの標的》はすでに破壊されているので、破壊効果は何もしません、一方で、この誘発効果の解決時にニックは標的になります。これによりタイラーの《咬傷》は標的のヒーローを攻撃しているため+1{p}を得ます。
《シンドラ》を使って「同じ」短剣で2回攻撃できますか?
はい。
短剣が破壊され、《シンドラ》の効果により再び装備されたとき、それは過去の記憶を持たない新たな短剣とみなされます。つまり、ターン1回の制限はリセットされ、再び攻撃できること意味します。
タイラーは《シンドラ》をプレイしています。タイラーは《報復のクナイ》で攻撃しました。タイラーは戦闘チェインを閉じ、《報復のクナイ》が破壊されました。タイラーは《シンドラ》の能力を起動し (3{r}を支払い) 、破壊された《報復のクナイ》を装備して、新たに装備したこの《報復のクナイ》で再びニックを攻撃しました。
《成りすまし》の対象の攻撃に適用されていた強化は維持されますか?
はい (ほとんどの場合は) 。
《成りすまし》の基本的な機能は、戦闘チェインに対象のカードをそのまま残しつつ、そのカード上の表記の値 (すなわち表記の特性) を追放されているカードの特性に変更することにあります。
さらに、対象となったカードの表記の能力は失われ、一方でコピーしたカードの新たな表記の能力が機能するようになります。新しく成ったカードの「プレイしたとき」や「攻撃したとき」の誘発は、すでに戦闘においてそれが誘発するタイミングを過ぎているため誘発しません (それぞれ、レイヤーステップと攻撃ステップが誘発タイミングです ― 《成りすまし》がプレイできるのはリアクションステップのみです) 。
最後に、これまでそのカードに適用されていた効果は、値の変更も含めて引き続き適用されます ― これはすなわち、《Toxicity》や《ほんの切り傷》、あるいは《成りすまし》自身による+{p}効果や誘発能力も、その攻撃が変更した後でも適用され続けることを意味します。唯一の例外は常在能力による効果で、これは再計算されます(今のところ暗殺者に関連する例はないようです)。
タイラーは《Toxicity》をプレイし、次に (標的状態になっている) ニックを《隔離》で攻撃しました。リアクションステップ中、タイラーは《成りすまし》をプレイして解決し、《咬傷》を追放しました。《隔離》は追放された《咬傷》のコピーになり、《Toxicity》により得た誘発能力を維持します。ただし、コピーになった《咬傷》の「攻撃したとき」の能力は誘発しません。プレイヤーはすでにリアクションステップに入っていて、それが誘発するタイミングは過ぎているからです。
タイラーは (標的状態になっている) ニックを1{p}の《隔離》で攻撃しています。リアクションステップでタイラーは《ほんの切り傷》を両方のモードを選択してプレイし、解決して《隔離》を6{p}にしました。その後、タイラーは《成りすまし》をプレイして解決し、《問題の拡大 (赤) 》を追放しました。《隔離》は《問題の拡大》のコピーとなり、13{p}になります。すなわち、基本が3、自身の常在能力により+2、《ほんの切り傷》により+5、《成りすまし》により+3です。また、これは誘発能力を2つ持っています。すなわち、自身の常在能力によるもの1つと、《ほんの切り傷》によるもの1つです。
《死の接吻》はどう機能しますか?
どこから始めましょうか……。
《死の接吻》は攻撃・アクションカードで、サブタイプは「短剣」です。これはすなわち、短剣を対象としたり選んだりする、あるいは短剣に適用される効果は《死の接吻》にも同じことができ、さらにこれは攻撃・アクションカードでもあります。他の短剣とは異なり、《死の接吻》には「武器」のタイプや「片手」のサブタイプがありません。武器を対象としたり選んだりする、あるいは武器に適用される効果は《死の接吻》に対してなにもできず、《死の接吻》を短剣として武器ゾーンに装備することもできません。
さらに複雑なのは投げる効果との相互作用です。ほとんどの投げる効果においては (武器とは無関係に) 短剣であることが必要なので、《死の接吻》は投げることができます。手短に言うなら、投げる効果により《死の接吻》がヒットした場合、それは攻撃・アクションカードのヒットに数えます。言い換えると、《死の接吻》のヒットにより何かが誘発するなら、それは《死の接吻》を投げてヒットした場合も誘発します (これには獲得した誘発能力を含みます) 。
さらに、《死の接吻》を投げた時点でそれが戦闘チェインにおける以前のリンクで攻撃だった場合、それはヒットした攻撃に数えます。これは《グラフェンの鋏角》等の他の短剣には適用されない独自の相互作用を発生させています。これは、通常の短剣では攻撃の発生源 (短剣自身) を投げるのに対し、《死の接吻》では攻撃自身を投げることによる違いです。
タイラーは《黒麗蜘蛛のアラクニ》になっています。タイラーは《Toxicity》をプレイし、その後ニックを《死の接吻》で攻撃しました。リアクションステップ中、タイラーは《黒後家蜘蛛のアラクニ》を起動し、《死の接吻》に+3{p}とヒット時誘発の能力を与え、その後《金魚草の登攀者》を起動しそれに続行を与えました。ニックは防御リアクションをプレイし、《死の接吻》はヒットしませんでした。その後、タイラーはニックを《咬傷》で攻撃し、以前のチェインリンクである《死の接吻》を投げました。《死の接吻》は (《咬傷》の効果により) ニックに1ダメージを与えてヒットし、《死の接吻》と《Toxicity》と《黒後家蜘蛛のアラクニ》によるヒット時効果が誘発します。ニックは《死の接吻》により1{h}を失い、《Toxicity》により5{h}を失い、手札のカードを1枚追放します。