プロクエスト:シンガポールの第4週目が終了し、現在3人のヒーローが危険な900ポイント帯に突入している。残るは1週であり、週末には3カ所でバトルハーデンが開催されるため、今シーズンさらに多くの別れが訪れる可能性が高い。
《フローリアン》は明確な「仮想敵」として定着している。この状況は、フローリアンにプレッシャーをかけられる《シンドラ》、コンボで即死させられる《ケイノ》、そして時間をかけて究極兵器を作り上げる《Dash, Inventor Extraordinaire》といったデッキに道を開いた。
ここまで本連載では多くのヒーローを取り上げてきたが、今回はその中でも独自の地位を築きつつあるニッチな存在に注目していく。

《双刃のドラカイ、ファング》
やる気満々で超お得!《ファング》は非常に効率的な動きにより、メタゲームの一角をしっかりと掴んでいる。《勇敢な先駆者》の再利用性に加え、余ったリソースを《流血の繊維》に使い、後にそれを《勇錬の腕甲》の起動へ変換できる柔軟性が魅力だ。リソースとして黄色を多用し、ヒーロー能力が有効になったらそのままプレイに切り替える戦術が非常に機能している。
《ファング》は0コストで4ダメージを与えるカードに重点を置いており、その中には《傀儡・アラクニ》の一部の構築で使われている短剣も含まれている。とりわけ、無料で短剣を強化できるというのは大きなメリットだ。結果を残している《ファング》のデッキは、「続行」を活かして短剣による攻撃の合間に織り交ぜられる0コスト攻撃アクションを複数搭載しており、「続行」が無いときは戦闘チェインを終わらせるためにも使用できる。このメタにおける唯一の弱点は魔術師との相性が悪いである点であり、それが現在のところ《ファング》がトップメタではない理由だ。
《薔薇の棘、ヴァーダンス》
《ヴァーダンス》は《フローリアン》のルーン陣を貯める戦略に対して非常にうまく対抗できる。彼女は独自の破壊的な一撃を組み立て、《治癒のポーション》のようなカードで大量のライフを得た後、《蔓延 //生命》をプレイし、《繁茂の羽根飾り》で再使用し、ダメージを極限まで「増幅」させて《激流するエーテル波》で爆発的なダメージを与え、リーサルに繋げる。
しかし、《ヴァーダンス》の切り札はそれだけではない。彼女には《欠けゆく月》というオプションもあり、《エーテル源の氾濫》と組み合わせれば非常に効率的に機能する。特に、《千年樹の導き》のような増幅手段があれば効果はさらに高まる。さらに現在《一掃》は極めて優秀なカードであり、《フローリアン》のルーン陣だけでなく、他の多くの相手の《熟考》、《忠義》、《霊気の盾》などを一掃できる。
《エーテルのドラカイ、ケイノ》
「遅い環境」だって?
《ケイノ》が帰ってきた。防御手段を持たない者たちを容赦なく咎める構えだ。《フローリアン》や《ヌゥ》のようなデッキに支配された遅い環境を狙い撃ちし、再び浮上してきている。スピードの速い相手に対しては、とにかく早く《エーテルの猛火》を見つけることが勝利の鍵であり、それができなければ敗北は避けられない。リスクも大きいが、成功すれば見返りも莫大だ。《ケイノ》が最も辛いのは、《プリズム》と相対するときだ。《Wounded Bull》のようなカードで攻撃をしのごうとする試みは見られるものの、《プリズム》が多いなら見送った方が良いかもしれない。
《ケイノ》にとっての勝利条件は《エーテルの猛火》を見つけること。そのために《Clarity Potion》が再びデッキに採用され始めている。また、秘本を使わない構成では、他の方法でリソースを絞り出す必要があり《エーテル源の氾濫》がその役目を果たしている。多くの《ケイノ》プレイヤーはこのカードを3枚フルで採用している。さらに《Imperial Edict》も強力で、《オアシスでの休憩》や《癒しの印》など、相手が何ターンも格納庫に抱えていると予想されるカードを指名すれば、大きなアドバンテージが得られる。
プロツアー:シンガポールの開催権利を手にした第4週のプロクエスト:シンガポール勝者たちよ、おめでとう!みごと究極の栄冠を争う資格を手にした。なお、「Metagame Minute」は今回をもってしばらく休止となり、今後は最新の競技トレンドとハイライトをお届けする「World Tour Weekly」へと移行する予定だ。この連載を楽しんでくれた読者は、ぜひ「World Tour Weekly」、そして近く始まる「Deck of the Week」もチェックしてほしい。