フレッシュ&ブラッドのカードプールとメカニズムは周期的に拡張されていくのと同時に、ゲームプレイという共通言語において、プレイヤーがコミュニケーションをどう取るかという方法も進化していきます。しかし、ゲームにおけるコミュニケーションの手段や許可される行為の線引きは、時に複雑で理解しにくいものです。ルール&ポリシーマネージャーのJoshua Scottが、最近更新されたトーナメントルール&ポリシー文書について、記録を取る行為、ゲーム上の配置、外部情報の参照に関する方針の変遷を解説していきます。

基本的な理念
初めに、ここで言う記録を取る行為とは何かを定義します。ざっくり言うと、
> 記録を取る行為とは、情報を記録するために補助手段を使用することです。
つまり、覚えるために何らかの物品 (サイコロ、マーカー、書き留める) を使ったとき、それは記録を取る行為をしたと見なされます。これには次の例が含まれます。
- 何かを書き留める
- サイコロを使って数を示す
- オブジェクトにマーカーを置く
- カードの整理や並び替え
Legend Story Studiosの目標は、素晴らしいゲームプレイという共通言語を通して、フレッシュ&ブラッドでプレイヤー達を結びつけることです。この目標に基づいて記録を取る行為に関するポリシーが定められており、以下の三つのポイントに分けることができます。
- プレイヤー間のコミュニケーションが明確、一貫性、正確であることを推進する。
- プレイヤーの記録を取るスキルを競うのではなく、精神力と記憶力を試す。
- プレイヤーがゲームに集中できるようにし、最高の競技レベルでプレイする際に必要な作業を減らす。
まず第一に、プレイヤーが主体的に、対戦相手と明確かつ一貫した方法でコミュニケーションが取れるようにしたいと考えています。そのため、プレイヤーがマーカーやダイスを使用したり、現在のゲーム状況の一部を示す数字やメモを書き留めることを明示的に許可しています。これは、特にプレイヤー達がゲーム以外でコミュニケーションを取るための共通の言語を持たない場合において、ゲームを正しく進行させるために必要な重要なコミュニケーション手段でもあります。しかし、これはゲームを正しく進行させるために必要ない要素 (例:経過ターンの記録) は許可されていないことに注意してください。
第二に、フレッシュ&ブラッドはスキルを試すゲームです。試されるスキルの一つに記憶力があります。例えば、自分や相手がピッチしたカードを覚えておくことは、ハイレベルなプレイを際立たせるコアなスキルとなります。もしあらゆる内容について記録を取る行為を許可した場合、この要素が無くなり、ゲームの多くの部分が簡略化されてしまいます (例:ケイノのピッチスタッキング) 。そのため、私たちはこのゲームの一部を侵害するような記録を取る行為には強く反対する方針を取っています。
第三に、プレイヤーが目の前のカードと対戦相手に集中することを望んでいます。もし記録を取る行為がプレイヤーのパフォーマンスを向上させる中心的な要素となると、プレイヤーは対戦相手とのやり取りを疎かにし、カードの追跡や記録の確認に時間を割くようになると推測しています。記録を取ることで将来得られる僅かな優位性を保持するためには、記録すべき情報が多すぎます。プレイヤーはプレイするよりも、記録やその確認に多くの時間を費やしてしまうでしょう。
とはいえ、ゲームのプレイ体験全体において良い影響をもたらし、ゲームのスキルテストの一面を損なわない場合において、ポリシーにはある程度の柔軟性を持たせることができると考えています。プレイヤーにゲームを快適にプレイするために必要な手段を提供しつつ、私たちが期待しているゲーム進行を妨げる手段を制限したいと考えています。そのためのポリシー変更の一つが、墓地や追放ゾーンのカードの順序に関するアプローチです。
2024年10月28日以降、プレイヤーは墓地や追放ゾーンを関連する効果に基づいて「並び替え」することができます。例えばフローリアンやヴァーダンスのヒーロー能力や腐解のために、ゾーン内での大地カードの位置を変えることができます。これには大地カードと大地でないカードで別々のグループにすることが含まれるため、効果に関係しているカードの枚数を素早く把握することができます。ただし、他の目的、例えばデッキに残っているカードを把握するためにカード名やピッチで並び替えをすることは引き続きポリシーで禁止されています。ジャッジはこのポリシーが適切に守られているかを判断するために、プレイヤーに墓地や追放ゾーンを並び替えする理由を尋ねる場合があります。
何を記録してよいですか?
トーナメントルール&ポリシー文書は、許可されている記録を取る行為について概説しています。記録を取ることが許可されるかどうかを判断する際の目安として、次の質問を考えてください。
> この情報を忘れた場合、ペナルティとなりますか?
もし答えが「はい」ならば、その情報は現在のゲーム状況に関連している可能性が高く、記録を取ることは問題ありません。以下がその例です。
- 今のターンに自身がプレイした稲妻カードの枚数 (《雷の導き、ヴォルザー》のため)
- 直前の2つのチェインリンクがヒットしたかどうか (《機運の仮面》のため)
- 与えた秘術ダメージの量 (《燃え盛るエーテル》のため)
もし答えが「いいえ」ならば、その情報は現在のゲーム状況に関連していないまたはゲームを正しくプレイするために必要ない可能性が高いです。そのため、記録を取ることはできません。以下がその例です。
- ゲーム開始時点からの経過ターン数。
- デッキの一番下に送ったカードを書き留める (例:ピッチしたカード等)。
- 将来与えられるダメージ量を計算する (例:ケイノにおけるプレイ基準のため)
いくつか小さな例外はありますが、ゲームプレイ中にある要素について記録を取ってよいか分からない場合、そのイベントのジャッジにお尋ねください!
盤上で何をしてよいですか?
公認イベントでフレッシュ&ブラッドをプレイする場合、いつでも盤上は基本のフレッシュ&ブラッドのレイアウトを守っている必要があります。プレイヤーが全世界どこでプレイするときでも、同じカード配置を目にすることを望んでいます。このレイアウトを常に守ることで、言葉にしなくともカードに関する情報が正しく伝わります。
レイアウトを左右反転 (デッキを左側、装備品を右側) する等の小さな範囲で許可されているレイアウトはありますが、公式のレイアウトから逸脱するとコミュニケーションに大きな問題が発生する場合があります。ポリシーに従い、ヘッドジャッジの許可を得た場合にのみ逸脱が可能です。

常に守るべきこと
- あなたがコントロールするカードやパーマネントを戦闘チェインのあなたの側に置くこと。
- 盤上を整理整頓すること。カードを綺麗な一つの山にし、マーカーを減らしてスペースを空けること。
- ゲームで使用していない不要なトークンは盤上から取り除くこと。
場合に応じて許可されること
- レイアウトを左右反転、つまりデッキを左側、装備品を右側にする。
- 現在のゲーム状況に関連するグループに分けるために、墓地や追放ゾーンのカードを並べ替える。
- 現在のゲーム状況に関連するカードを別で管理するために、墓地や追放ゾーンにカードの束を別にして作ること。これは対戦相手がその束がどのゾーンに属しているものなのか明確に理解できるようにすることが必要です (例えば墓地や追放ゾーン) 。
- ゾーン内からプレイや起動することができるカードや、誘発する効果を持つカードを扇状等広げて置くこと。
- マーカーを使用してゲーム状況を記録すること。それが何を示しているか明確で分かりやすく、戦略的情報をもたらしていないこと。
常にできないこと
- ゾーンの位置を変更したり他のゾーンと入れ替えること。特に装備品ゾーン内での位置や、墓地と追放ゾーンを変えてはいけません。
- 装備品が破壊されたときに裏返すこと。裏返すのではなく、墓地に移動させることが必要です。
- 今のゲームの状況で使用していないトークンを、ヒーローの下に置くこと。それは盤上から取り除いてください。
「目に見えない」情報をどのように表してよいですか?
いくつかのカードは、ターン経過の中で忘れないように覚えておくのが難しい、長期間に渡って機能する効果を生成します。このような効果に関する情報を正確に伝えるために、マーカー、サイコロ、またはカードを使用してゲーム状況を示すことができます。
カードを使用して生成されている継続効果や遅延誘発効果を示すことは、ターン中にどの効果が適用されているか、あるいはまだ適用されていないかを伝えるために許容される方法です。このようにしてカードを使用する際は、他の効果がそのカードに関連するとき、それが引き続きあるべきゾーンに今置かれていると認識できるようにしておくのが重要です。
例えば《Seek and Destroy》をプレイし、その後《過去の清算》を対戦相手にヒットさせたとします。このとき、両方のカードを墓地のカードの束に重ねるのではなく、墓地の横にこの2枚のカードを置いておくことで、対戦相手が《Seek and Destroy》の遅延誘発と《過去の清算》の継続効果の影響下にあることを示すことができます。2枚のカードは墓地にあるカードですが、対戦相手のターンが終了するまで見えるようにしておくことで、プレイヤー達が正常にゲームを進めるのに役立ちます。
さらに、カードをプレイや解決する際に、何らかの宣言が必要なとき、それを書き留めることができます。これには、名前を指定するカードの「指定したカード名」、Xの値、選んだモード等が含まれます。
よくある質問
墓地 (追放) ゾーンのカードの並び替えで許されるのは何ですか?
基本的に、関連する効果のためであれば墓地のカードをグループ化することができます。
- 腐解効果のために大地カードとアクションカード。
- 《Burn Them All》のために赤のカード。
- あなたの追放ゾーンの血の債務を持つカード。
ただし、墓地全体を自由に並び替えたり、残りのデッキのカードを把握する目的で整理することはできません。以下のような例が該当します。
- ピッチ別にカードを並べる。
- 名前順にカードを並べる。
- タイプ別にカードを並べる。
カードを追跡するために、異なる印刷バージョンの3種類の同一カードを使用できますか?
答えは「はい」です。すべてのカードがトーナメントルール上適正なカードであれば、公式が出しているそれらのカードを混ぜて使用できます。ただし、デッキに区別のつくカード (裏面の違いにより、デッキで裏向きの状態で区別のつくカード) が含まれないように気を付けてください。また、カードに改変が加えられている場合、それは改変ポリシーを守っている必要があります。
《フィエンダルの春のチュニック》の誘発を思い出すために、何らかの物品[X]を使うことはできますか?
いいえ、できません。《フィエンダルの春のチュニック》の誘発を覚えておく唯一の方法は、あなたの装備品ゾーンで表向きで置いてある《フィエンダルの春のチュニック》そのもののみです。マーカーを使用したり、カードの位置を動かしたり、記録を取ることは外部情報の参照と見做され、許可されません。以下に許可されていない例を書きますが、許可されない行動は例だけではありません。
- 「チュニック忘れに注意」と書かれているプレイマット。
- 「チュニックを思い出せ」と印刷されているスリーブ。
- 装備品ゾーンの視認性に問題が出るサイズのダイスをチュニックに置くこと。
- チュニックを胴・装備品ゾーンに置かずにヒーローの上に置くこと。
- 思い出すためのカードを闘技場に置き、何らかのカードをプレイする前にそれを動かす必要がある状態にすること。
「チュニックを忘れるな」というタトゥーを手に着けてもよいですか?
しないでください。一般的に、記録を取る行為や外部情報の参照のルールを回避する方法を考えて実行した場合、それはペナルティの対象となる可能性が高いです。
相手の墓地にある《制服の命令》の枚数を数えるためにダイスを使ってもよいですか?
基本的にはできません。これは現在のゲーム状況に直接関連しない情報です (ごく一部の例外を除く) 。対戦相手の情報ではなく、自分自身の情報に責任を持つことが求められています。