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Rules Reprise #23:『ロゼッタ(Rosetta)』

ここではルールチームが広いカードプール内で『ロゼッタ(Rosetta)』のカードがもたらす幾つかの特別な状況や、最近話題になっている過去のカードとの相互採用 (《野獣の蛮帯》と《Blaze, Firemind》) についても解説します。


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《孤光の稲妻》でダメージを与えるのはいつですか?

答えはあなたが続行でアクションポイントを得るたび、になります。

《孤光の稲妻》は遅延誘発効果を生成します。そのターン中、誘発するたびに任意の対象1つに秘術ダメージを1点与えます。この効果を誘発させるには、あなたが「続行」を成功する必要があります。言い換えると、あなたはカードや能力の「続行」をただ解決するだけでは条件を満たせません。解決してアクションポイントを得る必要があります。

《孤光の稲妻》自身も「続行」を持っています。そのため、このカードの解決の中で「続行」が解決されることで自身の遅延誘発効果を誘発させます。カードの解決の際、あなたはカードに書かれている順番に沿って効果を解決していくためです。ここで詳細に解説はしませんが、実はカードの解決の中で「続行」は常に最後に解決されます。そのため、遅延誘発効果が生成された後に解決されます。

また、対戦相手のターンに《孤光の稲妻》を解決する場合 (例えばインスタントであるかのようにプレイする効果で) 、あなたは対戦相手のターン中にアクションポイントを得ることはできないため、「続行」を解決しても《孤光の稲妻》の能力は誘発せず、ダメージを与えることはできないことに注意してください。

タイラーは《孤光の稲妻》をプレイし解決しました。解決時、最初に《孤光の稲妻》は遅延誘発効果を生成し、その後《孤光の稲妻》の続行が解決されるため、この遅延誘発効果が誘発します。誘発効果をスタックに置くとき、タイラーは秘術ダメージを1点与える対象としてニックを選びました、その後、この誘発効果が解決され、タイラーはニックに秘術ダメージを1点与えました。

《象形文字の重なり》で3/2/1点を超えるダメージを与えましたが、私は印を持っていません。誰のデッキをシャッフルしますか?

誰のもシャッフルしません。誰も印の単語を名前に含むオーラをコントロールしていないとき、シャッフルされるデッキは誰のものか追跡できず不明な状態になります。従って、デッキはどれもシャッフルされません。

この効果は、他のカードに見られる誰のデッキをシャッフルするか明示している、シャッフルが前提となっている効果 (例:[特定のカード]をあなたのデッキに加えシャッフルする) とはとは異なっています。そういった効果の場合は、デッキに加える特定のカードが1枚もなかったとしても、あなた (特定のカードのコントローラー) がシャッフルすることが明示的であるため、デッキをシャッフルします。

タイラーは手札が0枚の状態で《備えあれば患いなし》をプレイしました。しかし、デッキに罠は見つかりませんでした。デッキに戻す手札もありません。しかし「あなたの[カードを]デッキに戻し、シャッフルする」というテキストは、誰のデッキをシャッフルするべきか明示されています。そのため、シャッフルする必要があります。

《光速移動》が手札に戻ると、戦闘チェインは閉じますか?

場合によりけりです……

スタックにある《光速移動》が解決されると、戦闘チェイン上の攻撃カードになります。攻撃カードになったとき、遅延誘発効果をつくる攻撃時の誘発効果が誘発します。以降、次にこのチェインリンク上でインスタントをプレイしたとき、《光速移動》を手札に戻すことができます。

質問に戻りましょう。戦闘ダメージを与える前に《光速移動》が手札に戻ったなら、答えは「はい」です。チェインリンクは解決されておらず、カードはもう戦闘チェインに攻撃として存在していないため、戦闘チェインは閉じられます。

ダメージを与えた後に、《光速移動》を手札に戻した場合は、答えは変わります。チェインリンクは解決されているため、カードがどこに行こうと問題ありません。また、手札に戻る前の《光速移動》が続行を持っていた場合、戦闘が解決ステップからリンクステップに移行した際、プレイヤーは続行からアクションポイントを得ます。

《電磁回転》をプレイし、攻撃している攻撃・アクションカードを手札に戻したときも同様です。アクションカードを戻す遅延誘発効果はダメージを与えた時点よりも後で誘発するため、チェインリンクは既に解決されています。そのため戦闘チェインは閉じません。攻撃が続行を持っていた場合は、戦闘がリンクステップに移行した際にアクションポイントを獲得します。

タイラーは手札に《稲妻の圧壊 (赤) 》を持っている状態で《光速移動》をプレイしました。《稲妻の圧壊》をプレイすると、次の様になります。

  1. 《稲妻の圧壊》を《光速移動》が解決する前 (レイヤーステップ中) または攻撃誘発の解決前 (攻撃ステップ中) にプレイすると、遅延誘発効果がまだ生成されていないため、何も起きません。
  2. 《稲妻の圧壊》をスタック上の攻撃誘発が解決された後 (攻撃、防御、またはリアクションステップ) かつダメージを計算する前にプレイしました。この場合、タイラーは《光速移動》を手札に戻すか選べます。戻した場合、戦闘チェインは閉じられ、《稲妻の圧壊》は対象不適正で解決されません。戻さない場合、《稲妻の圧壊》は適正に解決されます。
  3. 戦闘ダメージを与えた後、《稲妻の圧壊》をプレイします。タイラーは《光速移動》を手札に戻すか選べます。戻した場合、戦闘チェインは閉じませんが、《稲妻の圧壊》は対象不適正で解決されません。戻さない場合、《稲妻の圧壊》は適正に解決されます。

《光速移動》+《Mark of Lightning》+《稲妻峡谷の導き》…何が起きるんでしょう?

戦闘チェインが閉じたとき、《光速移動》は防御ヒーローに1点のダメージを与え、あなたはカードを1枚引きます。

言葉にせずにはいられません……私はこういった出来事が大好物です。何故なら、このゲーム上のやり取りは、総合ルールにおいて非常に興味深い隅を追求しており、ルールで具体的かつ明確に説明できるのかを問い詰めてくるからです。詳しく見ていきましょう。ゲームの状況は次の通りです。

  • タイラーは《光速移動》でニックに攻撃しました。
  • ニックは手札のカード1枚で防御しました。
  • 《Mark of Lightning》が誘発します (レイヤー1)
  • タイラーは《稲妻峡谷の導き》をプレイしました (レイヤー2)
  • 《光速移動》が誘発します (レイヤー3)

レイヤー3の解決後、タイラーは《光速移動》を手札に戻すことを選びました。これによって、状況起因処理が発生し、戦闘はクローズステップに移行し、戦闘チェインが閉じられます。この時、戦闘チェインが閉じるまでに次の2つの事象が発生しています。

  • タイラーの稲妻の攻撃 (最後の情報を用います) から守るため、手札から防御に出されたカードはまだ残ったままです
  • 防御ヒーローはまだ存在しています (チェインリンクが解決されていないため)

戦闘チェインを閉じる手順の一部として、スタックにまだ残っているレイヤーをすべて解決します。レイヤー2を解決すると、《稲妻峡谷の導き》はタイラーのコントロールするパーマネントになります。レイヤー1の解決時、誘発の状態起因条件を今も満たしているか (あなたのコントロールする稲妻かエレメンタルの攻撃が手札のカード1枚に防御された状態になるたび) をチェックします。満たされているため、この誘発を解決します。タイラーは《Mark of Lightning》を破壊することを選びました。《光速移動》はニックに1点のダメージを与えます。攻撃はもうどこにも存在しませんが、効果が最初に誘発したとき、レイヤー1でこの攻撃は参照されているため、このダメージを与える際に最後の情報が用いられます (《Ball lightning》等の効果と関連) 。

最後に、誘発した《稲妻峡谷の導き》でタイラーがカードを1枚引いた後、戦闘が閉じられます。

《有頂天の恐れ知らず》で攻撃または防御した後、ヒーローを変形させました。まだ-2{i}されますか?

答えは「いいえ」です。ヒーローへ「変形する」こととヒーローに「なる」ことは違う事柄です。

ヒーローまたはデミヒーローへと「変形」すると、あなたのヒーローカードは完全に新しいヒーローカードへと置き換えられます。前のヒーローカードに適用されていた効果は引き継がれません。引き継がれない効果には、《有頂天の恐れ知らず》や《屈辱》の効果が含まれます。

タイラーはレヴィアでプレイしています。ライフは14で、追放ゾーンに血の債務を持つカードが1枚あります。タイラーは《有頂天の恐れ知らず》でニックを攻撃します。タイラーのヒーローのレヴィアは、次の終了フェイズの間-2{i}を得ます。タイラーの終了フェイズの開始時、血の債務が誘発してライフが13になります。次に《Blasmophet, Levia Consumed》が誘発し、タイラーは自身のヒーローのレヴィアを《Blasmophet, Levia Consumed》に変形させます。ヒーローカードが完全に別のものに置き換わったため、タイラーの新しいヒーローカード (Blasmophet, Levia Consumed) は-2{i}の修正を受けません。タイラーは終了フェイズ中の処理で、手札が4枚になるようカードを引きます。

あなたがヒーローに「なる (become) 」とき、あなたのヒーローは残り続けていますが、特性は次のヒーローが持つ値に変わっています。別のヒーローの特性をコピーした場合でも、それ以前に適用されていた効果は引き続き適用されてままです。

ニックは《Shiyana, Diamond Gemini》でプレイしています。ニックは《有頂天の恐れ知らず》でタイラーの攻撃を防御しました。ニックのヒーローのシヤナは、次の終了フェイズの間-2{i}を得ます。ニックのターンの開始時、シヤナの効果が誘発し、シヤナはタイラーのヒーローのコピーになりました。このターンの終了フェイズでは、ニックのヒーロー (シヤナ―タイラーのヒーローをコピーしている) は-2{i}の修正を受けたままです。何故なら、ヒーローカードは依然として同じオブジェクトであり、それはタイラーのヒーローの特性を持っているだけだからです。

+{p}効果で、《野獣の蛮帯》によるコスト減少効果を適用できますか?

こたえは「はい」です。ほぼすべての+{p}効果はカードがプレイされる段階で適用され、これはコストを計算し支払う前の段階に当たります。

カードのプレイ手順の概要は以下の通りです。

  1. カードをスタック上に置く―そのカードはあなたのコントロール下となり、あなたがプレイ中のカードになります
  2. パラメータ、対象、モード、その他のことを決定
  3. カードのプレイが適正か確認
  4. リソースコストの計算―カードのコストを計算
  5. リソースコストの支払い
  6. 効果コストの計算
  7. 効果コストの支払い
  8. そのカードはプレイされたことになります

注意することとして、カードのプレイを宣言したとき、あなたが次にプレイするカードに適用される効果や、あなたがコントロールするカードや攻撃に適用される効果は、この段階で適用されます (スタック上の攻撃・アクションカードは攻撃とみなされます)。これらの効果を適用した後にそのカードのリソースコストを計算します。この際、《野獣の蛮帯》は、{p}が6以上かどうかをチェックし、リソースコストを減少させることができます。

この順序は、フレッシュ&ブラッドを機能させるために必要なルールです。理由は以下の通りです。

  • カードのプレイが適正かどうかの判定は、カードに効果が適用された後に行う必要があります。つまり、効果を適用したことによって、そのカードのプレイが適正かどうかの判定が変わる場合があります。
  • カードが適正にプレイできるかの判定は、そのカードのコストを支払い始める前に行う必要があります。言い換えると、プレイできないという判定がされる前に、カードのコストの支払いが始まるべきではありません。

タイラーは《野獣の蛮帯》を起動した後、《Bloodrush Bellow》をプレイし (6{p}カードを捨てました) 、次に《Come to Fight (red) 》をプレイしました。その後、タイラーは《Swing Fist, Think Later (青) 》をプレイしました。コストを計算する際、《Swing Fist, Think Later》は7{p}になっています。基本の2+《Bloodrush Bellow》の2+《Come to Fight》の3です。7{p}のため、《野獣の蛮帯》の効果が適用されてプレイするためのコストは{r}少なくなります。従って、タイラーは《Swing Fist, Think Later》をプレイするために、リソースコスト支払う必要はありません。

《Blaze, Firemind》で追放するためのコストはいくつ?

時によりけりです。

ブレイズは、秘術ダメージを与える効果を直接生成するカードに焦点を当てています。与える秘術ダメージの値を修正する効果は、上記と同じ秘術ダメージを与える効果ではありません。また、他にも細かい例外を幾つか考慮する必要があります。《Blaze》の能力のコストのXの値を決める基本的なルールは次の通りです。

  • 秘術ダメージは、そのカードがスタック上で解決する際に直接生成される必要があります。
  • 条件付きで秘術ダメージを与える効果でも問題ありません。
  • 例えば「秘術ダメージをX点与える」効果等です。X=0でも問題ありません。
  • カードが2つの異なる値のダメージを与える場合、Xはどちらか片方の値を取ります。
  • 与える秘術ダメージを置換する効果は、Xの値を変更しません。

以下は魔術師・カードと追放するときのXの値の例です:

  • Chain Lightning》:X = 3。条件付きで秘術ダメージを与える効果でも問題ありません。このカードは秘術ダメージ効果を生成するカードです。 何故なら、スタック上で解決された際、秘術ダメージを与える場合があるためです。その時のダメージの値は3です。
  • 一掃》:X = 0。何故なら、《Scour》があなたの手札にあるとき、これが与える秘術ダメージは定義されていません。 そのため、与える秘術ダメージの値はデフォルトで0となり、コストのXも0となります。
  • Forked Lightning》:X = 2。別々の対象に秘術ダメージを与えることを宣言した場合でも、効果は秘術ダメージを2点与えると書かれているため、Xはこの値によって決まります。
  • 名誉教授の叱責 (赤/黄/青) 》:Xはそれぞれ4/3/2です。対戦相手のターンにプレイした場合に有効になる与える秘術ダメージの値を変更する置換効果は、このカードを追放する際のXの値の決定に影響しません。
  • 彗星の嵐|ショック(仮定上):X = 5 or 1。前提としてこのカードはブレイズではプレイできません。秘術ダメージを5点と1点与える別々の二つの効果を生成するため、Xは5または1である必要があります。ここで最も大きい数値を必ず選ばなければいけないわけではありません。

ブレイズで追放できない魔術師カード:

  • 攪拌するエーテルウィンド》 これは秘術ダメージを与えません。他のカードが与える秘術ダメージの点数を増やすだけのカードです。
  • Brainstorm》 これはインスタントカードのため、《Blaze》の能力の条件を満たしていません。しかし、これが非攻撃・アクションカードで印刷されていたと仮定しましょう。その場合でも、これは直接秘術ダメージを与えるカードではありません。これはあなたのヒーローに、秘術ダメージを飛ばす誘発効果を与えるカードです。
  • エーテルの印》 これはインスタントカードのため、《Blaze》の能力の条件を満たしていません。しかし、これが非攻撃・アクションカードで印刷されていたと仮定しましょう。その場合でも、これは誘発効果で秘術ダメージを与えますが、スタック上での解決時に直接秘術ダメージを与えるカードではありません。そのため、これは秘術ダメージを与える効果を持つカードではありません。