クラシック
以下のクラシックに関する変更は、2025年5月20日 (火) から適用されます。
- 《祝福への感謝 / Count Your Blessings》は禁止されます。
- 《発芽 / Germinate》は禁止されます。
- 《苦痛の王笏 / Scepter of Pain》は禁止されます。
- 《祖先との縁 / Bonds of Ancestry》(赤)は禁止解除されます。
《祝福への感謝》は、フレッシュ&ブラッドの歴史の中でおそらく最も議論を巻き起こしたカードでしょう。我々はこれまで、《祝福への感謝》のゲーム上での役割について好意的に語ってきました。しかし、現実世界には《祝福への感謝》のファンが間違いなくいる (今の世界チャンピオンに聞いてみてください!) 一方で、爆発的なライフ獲得に対するプレイヤーの許容限度を社内チームは過大評価していました。ある人にとってはコントロールデッキが粘り強くライフにしがみついているように見える一方で、別な角度から見れば何ターンもかけてきた苦労が1枚のカードで無効化されるようにも見えます。
どちらの見解にも正当性があり、その上でゲームへの《祝福への感謝》に対する意見がプレイヤー間でちょうど中間で別れるようであれば、このカードの現状での働きは問題のあるレベルではないので、おそらく我々は現状を維持したでしょう。しかし《祝福への感謝》スタイルのゲームプレイは、アーモリーレベルのゲームにおいては過度のインパクトを与えています。このレベルでは、特にライフゲインが弱点となる戦略のプレイヤーは、何週にもわたって絶望的な気分になってしまうのです。
さらに、《祝福への感謝》が開発に加える重には大きくなりすぎています。新たなヒーローのほとんどが《祝福への感謝》チェックを通過する必要があります。防御的なツール? 《祝福への感謝》デッキを山ほど作りましょう。《祝福への感謝》に対抗する新たなカードを作る? 開発の時間の多くが1枚のカードに取られてしまいます。そして、これらのゲームのすべてが50分かけて殴り合うことを狙っている《祝福への感謝》デッキと対戦しなければならないのです。このカードに費やされる合計時間は単純に制御不能な悪循環に陥っています。
となれば、クラシックとブリッツの両方の構築から《祝福への感謝》が旅立つ時です。我々はこの経験から多くの教訓を得ましたし、このカードがゲームにおいて適正だった期間での影響力は、厳密には否定的なものにカテゴライズされません。ですが、その戦略やゲームの進め方は、まさにこうなるべきであったように思われます。
現在のプロクエストシーズンの見出しはアウローラがさらってしまいましたが、フローリアンは実質的にあらゆる基準で彼女を上回り、その恐怖による支配は数が少なかったために覆い隠されていました。そんなフローリアンが同様のルートを辿る代わりに、ある意味先取りした対策を講じることにしました。
《苦痛の王笏》は《Kraken’s Aethervein》と同様に増幅の存在以前にデザインされたカードです。その出力自体は問題とはならないかもしれませんが、《千年樹の導き》+《苦痛の王笏》はデッキが対抗策を組み込むにはいささか負担が大きすぎるように思われます。フローリアンに対して戦いを続けるための数多くの戦法をへし折られること無く、大量の秘術防壁を提供する現実的な方法は存在しません。
この事実に加えて、フローリアンはすでに武器を変えることなくアグロにもコンボにもコントロールにも組めるヒーローであり、《苦痛の王笏》がゲーム前の評価を複雑な物にしているのも明らかです。また《苦痛の王笏》により、プレイヤーがピッチによってデッキを操作してカードの完璧なコンボを見つけると言う、実に単調なゲーム状況へと導くこともありえます。
《発芽》はおそらくこのリストの中でも最も驚かれたカードでしょう。このカードを禁止する方向へと傾いた理由は2つあります。第一に、フローリアンの終盤戦は単純勝つ決定的過ぎるように感じられ、デッキ構築のコストさえほとんど不要ということです。《発芽》が明らかにすべての対戦に影響を与えているというわけではありませんが、フローリアンに対して長期戦に持ち込もうという愚かなヒーローは、常に《発芽》という通行料を食らうことになるのです。
第二に、未公開の『蒼海の秘宝(High Seas)』の拡張枠のカードのうち1枚は、《発芽》の効果的な代替トナルカードであると同時に、《発芽》と組み合わせると暴力的なコンボを生み出します。フローリアンの現状での成功を考えると、両方のカードが同時に使用可能であるというのは許容できない結論になりました。
《目的を手懐ける者、ゼン》がリビングレジェンドへと昇格したことを受けて、我々はカードプールに《祖先との縁》 (赤) を戻すことにしました。これにより、ここ数ヶ月で流れ弾を受けていたカツも若干のダメージを回復できるでしょう。このカードがクラシック構築フォーマットに長く残れるかどうかは判然としませんが、この時点でメタゲームに1色を戻しても危険が無いのは明らかなように思われます。
ブリッツ
ブリッツに関する以下の変更は、2025年5月20日 (火) から適用されます。
- 《稲妻峡谷の導き / Channel Lightning Valley》は禁止されます。
- 《祝福への感謝 / Count Your Blessings》は禁止されます。
- 《揺らめく燐火 / Flicker Wisp》は禁止されます。
- 《嵐の闊歩者 / Storm Striders》は禁止されます。
最新の先鋒戦シーズンのブリッツを成していたのは2つ、すなわちアウローラと魔術師でした。今回の変更はこの両方の目盛りを下げるものです。
《祝福への感謝》がブリッツフォーマットを去るのは前述の通りです。恐怖が広まっていたにもかかわらず、先だっての先鋒戦シーズンでは防御的なデッキは《祝福への感謝》があってさえも力を発揮しませんでした。ですが、秘術のクラスを弱体化させることによって、防御的なデッキもより伝統的なツールで対抗できるだろうと言うことを楽観的に考えています。
アウローラはクラシックと同様にブリッツにおいてもあらゆる点で恐怖であり、彼女が使う技も多くが同じです。ブリッツでのライフの少なさにより、《稲妻峡谷の導き》が1枚でも通ってしまうとゲームはアウローラの勝利へと向かってしまうのです。同様に、《揺らめく燐火》は突然巨大な一撃を与えるターンを生み出したり、防御的なゲームプランの相手に単にピッチを積むことで対抗したりできます。アウローラにはいささかの弱点が必要で、この2枚のカードが消えることでそれが生まれることを願っています。
《嵐の闊歩者》は、ブリッツのフォーマットに登場して以来長いこと社内で議論されてきたカードです。チームの一部がこのカードは魔術師のアイデンティティとして不可欠な者であると考える一方で、他方はこれが与える追加のターンはブリッツでのライフの少なさに見合わないと信じていました。そして長年にわたるブリッツのゲームの末、後者を裏付けする証拠が多く積み上がってきました。
魔術師はブリッツにおいては常にトップランクです ― これは、《嵐の闊歩者》が禁止されアイスランダーが最強デッキと目されていた短い期間ですら真実でした。ここらで魔術師には少々落ち着いていただいて、ブリッツにおいてもっとバランスの取れた《嵐の闊歩者》の代替品となるデッキを待つとしましょう。
リビングレジェンド
リビングレジェンドに関する以下の変更は、2025年5月20日 (火) から適用されます。
- 《Carrion Husk》は禁止されます。
- 《種子の王冠 / Crown of Seeds》は禁止されます。
- 《淘汰 / Cull》は制限されます。
- 《デッドウッドの哀歌 / Deadwood Dirge》は制限されます。
- 《誘惑への屈服 / Succumb to Temptation》は制限されます。
- 《低体温症 / Hypothermia》は制限解除されます。
これまで何度も触れてきたことではありますが、リビングレジェンドフォーマットはフレッシュ&ブラッドのエコシステムを先に進めるための巨大な役割を背負っています。その証拠として、2025年のフィラデルフィアの世界選手権において、世界チャンピオンを決めるためのフォーマットの一つがリビングレジェンドであるのをここで発表できることを嬉しく思います。世界選手権に先立ち、さらなるリビングレジェンドのイベントがカレンダーに追加される予定で、その中にはプロクエストシーズン初のこのフォーマットの採用が含まれます。
リビングレジェンドへの継続的な取組の一環として、このフォーマットのバランスには以降の数ヶ月でさらなる注視が成される予定です。その第一段は? チェインとスターボ (《ショーの花形、ブラーボ》) に他のヒーローと同じラインまで下がってもらうことです。
我々は《種子の王冠》や《Carrion Husk》といったアイコンとなるカードがリビングレジェンドフォーマットの一部であり続けられるよう、長い時間取り組んできました。ですがある時点で、これらのヒーローのパワーレベルの根っこに近い部分を対象に禁止措置をもたらさなければいけなくなりました。チェインやスタ-ボの真の要因は彼らのカードテキストそれ自身にありますが。この2枚のSIPSIP (「Start In Play, Stay In Play」、最初からずっと場に残る) は第2の要因に非常に近いものです。
大地や氷や稲妻がさらにカードプールに増えるにつれ、スターボの能力が誘発に失敗することは遙かに少なくなり、デッキ構築においてより大きな基本防御値を獲得できるようになります。《種子の王冠》はその両方の強みをさらに強化するだけであり、特に《フィエンダルの春のチュニック》と組み合わせることで手札の安定性を高めより大きな防御の効率を引き出すのです。
《種子の王冠》は使って楽しいカードですし、スターボの体験の核の一部であると感じられるものです。スターボを楽しんでいる皆様においてこれが強烈な一撃であることは理解していますが、フォーマットの全体における必要性が優先なのです。
一方チェインにおいては、問題はもう少し多様になります。今回の禁止措置までは、チェインは最強のアグロデッキであり、最強の妨害型デッキであり、最強の対ファティーグデッキであり、全体としてもおそらく最強のデッキであると強く主張されてきました。
《Carrion Husk》の禁止は、《種子の王冠》の禁止がスターボに与えたインパクトほどチェインにとって強烈ではないかもしれませんが、この禁止によりチェインに対する破壊的なヒット条件が発生する可能性を開くことになります。これまでは、チェインが全力モードに達するまでの若干の時間において、様々な仕掛けを《Carrion Husk》が無効化していました。
ただ、《Carrion Husk》だけを失ったとしても、妨害型でないデッキに対するチェインの強さをせき止めるにはわずかしか影響しません。ここ数ヶ月の間、他の目的やヒーローのために作られた新しいカードは単に彼に多すぎる破壊力と攻撃力を与えてしまいました。そのため、《淘汰》《誘惑への屈服》《デッドウッドの哀歌》がさらに制限されます。
制限は禁止とはまったく違うツールで、特にチェインの様に毎ゲームで数多くのカードを見るデッキにおいてはなおさらです。《淘汰》等のカードは1枚で大きな影響力を持つカードとして、大多数のゲームでかなりのインパクトを与え続けるでしょう。また、チェインはこれらの制限を受けてもなお非常に強力であると信じています。その事実を踏まえ、スターボの弱体化と合わせて、氷のヒーローに道具を戻しても大丈夫であろうと考えました。中でもアイスランダー ― 人気はあるものの今回の変更前は使えるレベルにはほど遠かったヒーロー ― に《低体温症》を提供することに力を入れました。
オンラインでのデッキ登録の時代において、ようやくリビングレジェンドのフォーマットを効果的に管理するツールを手に入れられたと感じています。ここからの数ヶ月、我々はイベントを注視し、このフォーマットの世界選手権での華々しいデビューを確実なものとしていく所存です。
コモナー
コモナーに関する以下の変更は、2025年5月20日 (火) から適用されます。
- 《Reality Refractor》は禁止されます。
前回の禁止制限告知において、コモナーのメタゲームにおけるSIPSIP武器の大きすぎるインパクトについて長々と語ってきました。《Reality Refractor》がそのような武器になるには若干の「輪っか」が必要になりますが、その目標に到達したとき、エニグマは弱体化前のアイラやチェインやアイスランダーと同等な打点マシンと化します。《Reality Refractor》は前回の禁止に加えるべきだったという議論もあり、その見落としを修正することができたのを嬉しく思います。
リビングレジェンドポイントの配分の変更
今後、リビングレジェンドポイントの配分に関して、大きな変更点が2つあります。
- リビングレジェンドポイントの端数は、丸め誤差の過度な影響を和らげるため、GEMの内部で管理されることになりました。
- リビングレジェンドポイントは、ヒーローの生存期間に対応した倍率を受けることになります。
最近のDev Talkでも触れましたが、リビングレジェンドシステムはTCGの歴史の中でも独自の体験であり、トーナメントサーキット全体に対して与えるストーリー的な面でも成功しているものの一つです。しかし、発売後にヒーローが発売後にあまりにも早く撤収してしまうことで、プレイヤーに過度の負担がかかる事実は無視するわけにいきません。
一言で言うなら、新しいヒーローはブリッツやクラシックのトーナメントで十分な時間を過ごした後に、ヒーローが撤退しないフォーマットを永遠の住処とすることになります。この目標を達成するため、2025年6月5日以降、以下のポイント倍率が適用されます。
- あるヒーローが適正となった1年目では、そのヒーローが獲得するリビングレジェンドポイントは半分になります。
- 適正となった2年目では、獲得するリビングレジェンドポイントはそのままです。
- それ以降は、獲得リビングレジェンドポイントは1.5倍になります。
この新しいシステムによりリビングレジェンドポイントに端数が発生することは内部的に端数を管理するきっかけになっていますが、最近終了したプロクエスト:シンガポールで起こった、2.51を整数化するために3へ四捨五入するという、リビングレジェンドポイントの配分における奇妙な事態にも役立つでしょう。
今回の更新や禁止措置の頻度を増加させることにより、《流星のアウローラ》のようなあっという間の昇格を回避しつつ、リビングレジェンドシステムに適切なポイントが流れ込むこととなるでしょう。いつも通り、我々は今後の結果を注意深く監視し、フレッシュ&ブラッドのファンにとって最高のサービスを提供できるよう臨んでいきます。
次回の禁止制限告知の発表予定
次の禁止制限告知の発表は2025年6月30日 (月)、適用は2025年7月7日 (月) を予定しています (アメリカ時間)。