海賊の生き方というものは、スリルと恐怖が半分半分です。荒れ狂う海原、叫ぶような嵐、待ち構える海の怪物、そして冒険への呼び声がそこには待っています。レイスの海の底に何が潜んでいるのかは誰も知りませんが、台北での『蒼海の秘宝(High Seas)』ワールドプレミアの週末やお近くでのプレリリースイベントに参加する皆さんの悪名と富へと向かう航路を手助けすべく、ルールチームがここに戻ってきました。Niccolo PaqueoとJoshua Scottが帆を上げて皆さんを出迎え、今後の旅において皆さんが勝利し、あるいはおそらく見つけるであろう古の財宝までの地図を示したいと思います。

タップとアンタップはどう機能しますか?
『蒼海の秘宝(High Seas)』での新たな、そして今後もプレイヤーが見るであろうメカニズムとしてタップとアンタップが登場しました。その機能は大まかにこんな感じです。
- プレイヤーがカードをタップする場合、それを90度回転し、これでタップ状態になったとみなします。
- プレイヤーがカードをアンタップする場合、それを90度回転して元の向きに戻し、これでアンタップ状態になったとみなします。
- カードは闘技場に出るか置かれるかして、パーマネントになった時点ではアンタップ状態です。
- タップやアンタップできるのは闘技場のパーマネントだけです。
- フレッシュ&ブラッドにはいわゆる「召喚酔い」はありません。カードが自身のタップをコストとする能力を持っている場合、その能力は (必要なコストを支払えるなら) プレイしたそのターンから起動できます。
エンドフェイズ中のアンタップ
ターンのエンドフェイズは更新され、ターンプレイヤーが自身のパーマネントをアンタップするステップが追加されました。エンドフェイズ中に起こる順番を手早く覚えるには、略語APUDを頭に入れておくといいでしょう。
- A ― 格納庫(Arsenal) ― 望むなら、手札のカード1枚を空の格納庫ゾーンに置くことができます。
- P ― ピッチ(Pitch) ― ピッチゾーンのすべてのカードをデッキの一番下に置きます。
- U ― アンタップ(Untap) ― あなたがコントロールするタップ状態のパーマネントをすべてアンタップします。
- D ― 引く(Draw) ― ヒーローの知力に等しい枚数になるまでカードを引きます。
重要な点として、自分のターンの終了時以外では、パーマネントを自主的にアンタップする事はありません ― これがゲームの最初のターンだとしてもです。
ゲームの最初のターン、タイラーは《絡みつく悪意、ケルピー》をプレイしました。タイラーはリソースを1点支払ってケルピーをタップして2つ目の能力を起動し、ニックの《グレイビィ・ボーンズ》を対象にしました。起動能力が解決され、ニックの《グレイビィ・ボーンズ》がタップ状態になります。この最初のターンのエンドフェイズ中、タイラーは手札のカードを1枚格納庫に置き、ピッチしたカードをデッキの一番下に置き、ケルピーをアンタップし、その後カードを引きます。これはまだ最初のターンですが、ニックが行うのはピッチしたカードをデッキの一番下においてカードを引くことだけです。ニックはターンプレイヤーではないため、《グレイビィ・ボーンズ》をアンタップしません。
効果のコストの一部としてのタップやアンタップ
『蒼海の秘宝(High Seas)』の多くのカードは、起動のためのコストの一部としてオブジェクトをタップすることを求めています。能力を起動するためのコストとしてタップを求めていて、そこにどのオブジェクトをタップするのか示されていない場合、その能力があるカードをタップします。多くの盟友や武器のカードで単純に攻撃する際に、この表記をよく見ることになるでしょう。
カードのコストや効果により特定のオブジェクトをタップやアンタップする指示がある場合、闘技場のパーマネントのみがタップやアンタップできます。これにはヒーロー、盟友、アイテム、あるいは戦闘チェイン上の防御しているパーマネントも含まれます。一方で、戦闘チェイン上の攻撃・アクションカードや防御リアクションやブロックといったパーマネントでないカードはタップやアンタップできません。
カードをプレイしたり起動能力を起動するためのコストを支払う場合、そのコストとしてすでにタップ状態であるオブジェクトをタップすることはできません。
一方で、ある効果の解決時、その効果の解決中にオブジェクトをタップすることが求められている場合、すでにタップ状態のオブジェクトを選ぶことができます。ただし、そのタップ効果は失敗し、オブジェクトをタップすることを見る効果の条件を満たしたり誘発させたりすることはありません。これはアンタップにおいても同様です。
タイラーはアンタップ状態の《金の歯車》を2つコントロールしていて、《コグワークスのダブテイル》をニックにヒットさせました。《コグワークスのダブテイル》の誘発効果の解決時、《金の歯車》は2枚ともすでにアンタップ状態であるため、アンタップ効果は失敗します。
これは選択型効果において特に重要になります。注意して欲しいところですが、現在のゲーム状況において効果が失敗する場合、選択型効果を実行することは選べません。
上記と同様のシナリオで、タイラーはアンタップ状態の《銅の歯車》を1つコントロールしていて、ニックを《空滑り》で攻撃しました。ダメージステップ中、タイラーは《空滑り》の能力を起動し、その起動コストの一部として《銅の歯車》をタップしました。その解決時、タイラーはそれにより続行を得ることにしました。その後、タイラーは《ジョリィ・ブラッジャー》で攻撃し、その解決時に能力が誘発してそれが戦闘チェイン上の攻撃カードになりました。《ジョリィ・ブラッジャー》の誘発効果の解決時、ニックはその選択型効果ですでにタップ状態の《銅の歯車》をタップすることを選べません。選択型効果を実行することを選ぶためには、その選択型効果が現在のゲーム状況において成功する必要がありますが、この歯車はすでにタップ状態であるため、タップ効果は失敗し、《ジョリィ・ブラッジャー》は凌駕を得ません。
宝島
『蒼海の秘宝(High Seas)』にはフレッシュ&ブラッドの最新のマクロ《宝島》が登場します、《宝島》はロゼッタですでに登場した《アリアの聖域》と同様に、『蒼海の秘宝(High Seas)』リミテッドフォーマット(ブースタードラフト、シールドデッキ等)でのみ使用され、ゲームにプレイヤーに新たなレベルの次元と相互関係を提供します。
『蒼海の秘宝(High Seas)』リミテッドフォーマットのいずれかのゲームの開始時、ヒーローを公開する前に、闘技場の両プレイヤーの間に《宝島》を1枚置きます。両プレイヤーは2つの方法でこれと関わることができます。
- 《宝島》の1つ目の能力は、各ターン、最初にいずれかのヒーローが攻撃されたときに誘発します。この誘発効果の解決時、プレイヤーはこのカードに金貨カウンターを1個置きます。
- 《宝島》の2つ目の能力は、あなたかあなたがコントロールする盟友が対戦相手のヒーローにダメージを与えるたびに誘発します。この誘発効果の解決時、《宝島》から与えたダメージに等しい数の金貨カウンターを取り除く義務があり、その後、これにより取り除いたカウンターの数に等しい数の「金貨」トークンを作成します。
重要な点として、ゲーム中の《宝島》の数は1つだけで、ルールや効果の観点から見た場合にはどちらのプレイヤーも《宝島》のオーナーでもコントローラーでもありません。これは共有のオブジェクトです。ゲームのすべてのプレイヤーは《宝島》の誘発の発生を適切に管理し解決する必要があります。
あなたが《宝島》のいずれかの能力を誘発させた場合、それをスタックに置くプレイヤーはあなたになります。これは《宝島》の効果を含む複数の誘発効果をスタックに置く際に重要です。この場合、それをスタックに置くのは誘発効果のコントローラーであるあなたに責任があり、他の誘発効果と共にどの順番で加えるかはあなたが決定することになります。
最後に、《宝島》は前任である《アリアの聖域》が従っていたルールの多くに同様に従います。マクロはカードでもトークンでもなく、カードやトークンを選んだり対象とする効果で《宝島》を対象にすることはできません。さらに、カード名を指定する際は《宝島》を指定することはできません。
タイラーはターンの最初の行動として、《天海融域の探検》で攻撃しました。これによりそのカードの「これが攻撃したとき」の誘発能力が誘発し、同時に《宝島》も誘発します。《宝島》を誘発させたのはタイラーなので、タイラーはこの誘発効果と《天海融域の探検》の誘発効果をスタックに置く順番を選ぶことになります。
裏向きのカードと溺墓
溺墓は新たな能力キーワードで、『蒼海の秘宝(High Seas)』のカードプールの盟友やアイテムの多くが有しています。
この能力は、溺墓を持つカードが闘技場にパーマネントとして存在するかぎり有効で、そのカードが闘技場から墓地に置かれたとき (カードが死亡したり破壊されたりしたとき等) に誘発します。一方で、戦闘チェインで防御しているパーマネントでないカードが溺墓を持っている場合、それが墓地に送られる際は、溺墓はアクティブではないため、この能力が誘発することはありません。
また、『蒼海の秘宝(High Seas)』では墓地を肥やしていく多くの効果が登場します。手札からカードを捨てる、デッキの上のカードを破壊する、デッキからカードを墓地に置くといったこれらの効果が溺墓を誘発させることはありません。
溺墓が誘発して解決するとき、その溺墓を持つカードを墓地で裏向きにします。追放ゾーンの裏向きのカードと同様に、プレイヤーは自身の墓地の裏向きのカードの内容を確認することはできますが、相手は見ることができません。
一部のカードには溺墓の伝説というキーワードがあります。これは2つの能力キーワード「伝説」と「溺墓」をテーマ的に表記したものです。溺墓の伝説を持つカードは、そのそれぞれのキーワードを持つカードと同様に機能します。すなわち、構築デッキにはこのカードは1枚しか入れることができず、また、これには溺墓に適用されるルールがすべて適用されます。
最後に、墓地のカードと関連するカードや効果は、特に裏向きのカードに対して適用されることが明記されていないかぎり、裏向きのカードと相互作用することはありません。
タイラーは《グレイビィ・ボーンズ》でプレイしていて、闘技場に《ダイヤモンドのアミュレット》を出しています。タイラーは《ダイヤモンドのアミュレット》の能力を起動し、それをまずスタックに加えました。《ダイヤモンドのアミュレット》は起動コストの支払いの際に破壊されるので、その溺墓の伝説能力が誘発し、スタックに2番目に置かれます。タイラーはこの誘発効果を解決し、《ダイヤモンドのアミュレット》を墓地で裏向きにし、その後に《ダイヤモンドのアミュレット》の起動能力によりアクションポイントを1点得ました。《ダイヤモンドのアミュレット》は青のカードでこのターンに墓地に置かれたものであるため、《グレイビィ・ボーンズ》はこのターンの残りの間、墓地にある溺墓を持つカードをプレイできます。ただし、すでに裏向きになっている《ダイヤモンドのアミュレット》をプレイすることはできません。
(コントロールを)与える、盗む
『蒼海の秘宝(High Seas)』のカードプールにはオブジェクトのコントロールを盗むあるいは与える効果を持つ物があります。ここでは海賊の楽しい略奪のやり方を紹介していきます。
- あるプレイヤーが他のプレイヤーから何かを盗むよう指示されている場合、指示されたプレイヤーがどれを盗むか選び、そのコントロールを得ます。
- あるプレイヤーが他のプレイヤーに何かを与えるよう指示されている場合、指示されたプレイヤーがどれを与えるか選び、もう一方のプレイヤーがそのコントロールを得ます。
- 与えたり盗んだりしたオブジェクトの状態(タップ/アンタップ状態、カウンターがある等)はそのままです。
- 盗んだり与えたりしたオブジェクトが現在装備されている物である場合、受け取る側はそのオブジェクトを装備できる必要があり、そうでない場合はその効果は失敗します。できる場合、それは装備され、効果を誘発させることができます。
- オブジェクトのコントロールを与えることは、ルールや効果の観点において、もう一方のヒーローがそのオブジェクトを盗んだことにはなりません。
宝釣り
宝釣りは『蒼海の秘宝(High Seas)』で初登場するラベルキーワードで、カード名に「銛」を含む一部の攻撃・アクションカードに登場します。宝釣りを持つ攻撃がヒーローにヒットするたび、そのヒーローは手札のカードを1枚選んで公開します。どのカードを相手に公開したかによって、追加の効果が発生するかが決まります。
カード名に「銛」を含む『蒼海の秘宝(High Seas)』のカードの中には、宝釣りの誘発効果の解決時に、このターンに機砲を起動していたことを条件として、追加の効果を発生するものがあります。この追加効果の利点を得たいのであれば、宝釣りの誘発効果の解決が始まる前に起動しておくことをお忘れ無く!
タイラーは《銛機砲、ハンマーヘッド》を解決し、その後《キングシャークの銛》をニックにヒットさせ、宝釣り能力を誘発させました。タイラーはこのターンに機砲を起動しているので、タイラーは誘発効果の解決の際にニックの手札を見ます。タイラーはニックの手札の《金鰭の銛》を選び、ニックはそれを公開しました。それは攻撃・アクションカードであるため、ニックはそれを捨てて、さらにそれはゲームから取り除かれ、タイラーは「金貨」トークンを1つ作成します。
満潮
満潮も宝釣り同様の新しいラベルキーワードです。満潮能力はあなたのピッチゾーンに青のカードが2枚以上あるかを常にチェックし続ける継続効果を発生します。ある場合、あなたは指定された効果を得ます。特に指示がないかぎり、満潮能力はカードが防御している間は機能状態ではなく、有効ではありません。
相棒と肩乗
相棒は新たなカードのタイプで、大海原での冒険におけるヒーローの信頼できる仲間を表わします。『蒼海の秘宝(High Seas)』では、相棒カードは相棒のタイプと共に、その前にヒーローの名前が表記されています。このヒーローはその相棒カードを独占的に使うことができ、自身のカードプールに加えることができます。
『蒼海の秘宝(High Seas)』の相棒は盟友でもあります。それはカードの右下にライフの特性を持ち他の盟友と同様に攻撃を受けます。ただし、その相棒が肩乗している間はご注意を。
肩乗は《ポリー・クランカ》といった相棒が持つキーワードです。あなたは肩乗を持つ相棒を、両手に武器を持っている状態に追加で装備することができます。肩乗を持つ相棒の盟友が装備されている間、それは攻撃の対象にできません。ただし、それは効果により対象にされたり選ばれたり、ダメージを受けたりすることはあります。
ブリッツのゲームにおいて、ニックは《パフィン》としてプレイしていて、ゲーム開始時の手順で《スピットファイア》と《ポリー・クランカ》を装備しました。タイラーはニックに《拳には拳を》で攻撃しました。この状況では《ポリー・クランカ》を攻撃の対象とすることはできません。《拳には拳を》がパフィンにヒットし、能力が誘発します。ダメージステップ中、タイラーはこの誘発能力をスタックに加え、《ポリー・クランカ》を対象にしました。その解決時、それは《ポリー・クランカ》に1ダメージを与え、破壊します。
ブリッツのゲームにおいて、ニックは《パフィン》としてプレイしていて、ゲーム開始時の手順で《スピットファイア》と《ポリー・クランカ》を装備しました。ゲームの最初のターン中、タイラーは《エーテルの投げ矢》 (青) をプレイし、装備されている《ポリー・クランカ》を対象としました。その解決時、それは《ポリー・クランカ》に秘術ダメージを1点与え、破壊します。
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ワールドプレミアで『蒼海の秘宝(High Seas)』の全カードが公開されたら、改めてこの記事も更新していきます。今のところは、瓶の中から出てきた手紙の内容はこれだけです。次のRules Repriseでは、構築環境での微妙な相互作用に関して、海の底まで潜って議論していく予定です。その後はBack Alley Oracleで発売日からのルール変更点について掘り下げていきます。